「バックダンサーズ!」
評論家の荷宮和子さんより、メール拝受。試写会の感想が、いかにも「荷宮流」といった感じで、とっても面白い。ご紹介させていただきます。(以下引用)
×月×日
「バックダンサーズ!」のイベント&試写に行く。
出演/hiro、平山あや、ソニン、サエコ、田中圭、つのだ☆ひろ、木村佳乃、石野真子、陣内孝則 監督/永山耕三 117分 06年日本
ミウ「最後まで面倒見るんじゃなかったのかよーっ!!なんとかしてよ!!あたし達、このままじゃあ悔しいよ!!」
「スーパーモンキーズがMAXになる話を、元スピードのhiroがやるのか。。。で、ソニンの役柄はルピー・モレノか。。。」
前半の、「いかにもな軽薄な業界人の生態をネタにした展開」はいささか長く、だんだんと飽きてきたが、後半の「いかにもな青春バックステージドラマ」は心地よかった。
基本的には、「若手スタッフ&キャストによって、宝塚バウホールで上演されたなら、ごくごくありふれた印象となるであろう、オーソドックスな展開のバックステージドラマ」である。
なればこそ、117分は長すぎる。90分にすべきだ。
しかも、この場合削るべきは、もちろんダンスシーンではない(これはもっと多くてもいい、というのがミュー・オタの感覚)。
ミウをはじめとする登場人物たちが、「言わずもがなな台詞をわかりやすく叫ぶキメシーン」をカットすれば、十分は短くできるはずだ。
ああ、でも、「ボクは死にましぇーん!!」を作った人だからなあ。。。
「今の若者はこういうシーンがないと見ないし、そもそも理解できないんだ!」っていうことを、一番よく知ってる人だもんなあ。。。
2ちゃんねるの漫画板で、「邪道食いの極み!」「メニューになるでえ!」っていう書き込みがプチブームになってるのを見ても、「やっぱ、キメ台詞って必要なんだなあ」と思うし。。。
「泥酔ダンサーズの悩殺ダンス」という描かれ方をされていた、「ハロー・ドーリー」の「ウエイターのダンス」や、「バンドワゴン」のアステアと靴磨きのダンスを思わせるコミックシーンこそ、オーソドックスなミュージカルのダンスナンバーの真骨頂。
フジ月9出身の永山耕三監督、実はまじなミュー・オタ、音楽映画オタなのかも。
そうか、好きなればこそw、「愛という名のもとに」、なんてこともやっちゃったのかも!?
ていうか、この手の映画の魅力って、
「芝居シーンをリピートするのはうざいけど、ダンスシーンはまた見たい!」
と思わせてなんぼ、だと思うのだが、それが逆ってどうよ!?
ギャガが配給するヒップホップ映画っていうと、どうしても、去年公開された「ライズ」と比べちゃうしなあ。。。
今時の作品らしく、唯一のそれっぽいシーンは、仕事仲間以上・恋人未満のヒロイン&マネージャーの雪上でのキスシーンのみ。
(構図・シチュエーションとしては、「ミントな僕ら」(吉住渉/集英社)のラスト近く、中学生の佐々とまりあのキスシーンに近いw)
ま、これ以上やっちゃうと、「リアルじゃないから共感できない」んでしょうなあ。
たくもうっ、今時の成人男女ときたら。。。。そら、子供も増えんわ。
司会「四人でディズニーランドにも行かれたとか」
hiro「そうなんですけど・・・そればっかり書かれるからあんまり言うな、って言われちゃって・・・」
ソニン「わかりやすいんでしょうね」
一般客も入場した客席で、一番アグレッシブだったのは、hiroのおっかけ男子(ていうか、元男子w)だったが、女性客に一番人気だったのはソニンだった。
私もソニンが一番キュートで、ダンスもうまいと思ったのだが・・・やっぱ、今時の日本男児には受けないんでしょうなあ。
陣内「朝起きて、『今日はこの映画の舞台あいさつがあるぞーっ!』と気合を入れた途端・・・停電になりました・・・不吉な予感がします」
「ボクの姉貴はパイロット」(←パンフに記述がないのが元男闘呼組ファンとしては不満!)以降、フジのトレンディドラマを支え続けてきた陣内孝則が、シリアスシーンとお笑いシーンの両方で、要所要所をしめる。
舞台あいさつのMCの面白さもさすが、客席に降り、手を伸ばせば届く距離にいた陣内さんは、後姿でもかっこよかったっす。
鎖ジャラジャラな、いかにもなロッカー姿、あれで48歳かあ。。。
劇中で、ごく自然に「ヒロイン達のスポンサー役」として登場した、バッグブランド「サマンサタバサ」の使われ方は、かなりおいしい。
「オペラ座の怪人」のスワロフスキーや、「バトル・ロワイアル」のバツよりもはるかにおいしい。
そもそもバッグは、服ほどには使う人を選ばないので、ヒロイン達が劇中で使用している姿を見せることで観客の購入意欲をそそりやすいし(バツの場合、福袋を買うほどのファンだった私でさえ、「この制服を一体どうしろと。。。」状態だったからねえ)、「ヒロイン達のゲリラライブを許可したせいで警官達に囲まれて、連れて行かれちゃう広報担当者(←もちろん、「役者さん=豊原功補」がやってます)」という設定での退場は、まさに「映画のラストシーンをさらう、おいしい役どころ」。
あのシーンで、「なんだか一緒に面白がりながら連行されちゃう」っていう演出を了承したことは、この会社の「懐の深さ」を物語っているようで、かなり株が上がるのではないだろうか。
(いうて、本物の広報担当者は、この日の試写まで、まさかこんな展開になっているとは、本当に知らなかったりしてw)
「hiroって先月退団した女帝花ちゃんに似てるなあ、平山あやって男役顔だなあ」、と思いつつ観てたので、ついつい、宝塚とすりあわせてしまう。
もしも宝塚でやったならば、たとえば巴の隠し子ネタは「親代わりになって面倒を見てきた弟」等といった設定に変更されるのだろうが、ヅカファンとしては、キャストの3/2か半分を「女→男」に変更して、ソニンにそっくりでダンスが得意な娘役モモサリ、血気盛んな若者役が似合うアカシ、ユカリ、チエ、今月公演で退団するエンディー、みらん達がそろっている状態の星組でこそ、こういう作品が見たかった。。。
星から花に組替えになったマトブンも、こういう作品の方が似合うんだから、やっぱマトブンは、「星の王子様」だったんだなあ。。。
試写の前の「観客席に向かってブレスレットを投げる」というイベントで目の前50センチぐらいの距離で生のソニンと向かい合い、「このデカい乳は本物だ・・・!」とびっくりした荷宮和子より
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