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2008/04/15

丸の内トラストタワー本館新築工事

「そら」2007年11月号 現場拝見 第4回

丸の内トラストタワー本館新築工事

戸田建設

これまで培ってきた技術力を結集した超高層ビル

東京駅丸の内側に続き、八重洲口側でも超高層ビルの建設が最盛期を迎えている。新丸ビルの完成が騒がれていた頃に比べて、八重洲口側の駅側の街並みは、驚くべき変化を遂げている。

駅前の「丸の内トラストタワーN館」の隣に建設中の「丸の内トラストタワー本館」は、地下4階・地上37階建て、高さ178mという超高層ビルだ。

先進の高性能オフィスを中心に、2737階に外資系の5つ星クラスのラグジュアリー・ホテル「シャングリ・ラ」が入居する複合施設となる。N館を上回る規模の開発として、2008年11月の竣工予定。

建物には、台風から大地震まで、さまざまな原因によって生じる揺れを吸収する「粘性ダンパー」と大地震の揺れを吸収する「履歴ダンパー」を組み合わせた「ハイブリッド制震構造」を採用。幅広い揺れに対して高い制震効果が期待できる。

また、制震装置として屋上に「ハイブリッドマスダンパー(HMD)」を2基設置。三十一回り上階にあるホテルの客室の風揺れを吸収・低減し、強風時にも揺れを感じさせない優れた居住性能を確保している。

そのほか、直接基礎と杭基礎を併用した「バイル・ラフト基礎」、鋼管コンクリート柱(CFT柱)の中に鉄筋を設けて高軸力に対応する「戸田式鋼管コンクリート柱(TO-SCFT)」など、新技術の展開を図っている。

「着工前の計画・設計に2年半を費やすなど、当社がこれまで培ってきた技術力を結集した建物です。このハイブリッド制震構造などの技術を今後の高層ビル建築に積極的に役立てていきたいと考えています」と大谷清介統括所長は語る。

現場の方針を全作業員に

伝える「丸の内」ルール

大谷統括所長、宮上晃一作業所長、野坂浩司副所長の3人のご案内で、さっそく現場を拝見させていただいた。

朝礼広場には「丸虎ゲート」が設置され、大きな姿見が掲げられてあり、作業員は毎朝、服装・安全帯のチェックを行う。

これは、「丸虎会」という職長会が作成したもの。「丸虎」の「丸」は地名の丸の内から、「虎」は建物名のトラストタワーから名づけたそうだ。

丸虎会のスローガンは、「安全意識・仲間意識の追求・実現」。作業所のスローガンである「施工美の追求・実現 ひとつひとつをていねいにきちんとやろう!」に則り、全作業員が、1つの目標に向かって安全意識を高め、無事故・無災害を達成しようという決意がこめられている。その対策として、うっかりミスやぼんやりミスをなくし、仲間を守るため、ひと声掛け運動に力を入れている。

広場の掲示板には、丸虎会組織表が貼られていた。「わからない事は私達に聞いて下さい」と赤い文字。その下に、大きなカラーの顔写真が並び、ひと目でメンバーの名前と顔がわかって有難い。

また、「丸の内ルール」と記されたポスターもたくさん貼られている。例えば、「トラック荷台での荷捌き作業は、床開口部周囲で行わない。最低2mは確保する」、「10cm以上の段差がある所での立馬作業は段差から50cm以上離して立馬を設置する」、「積荷が接触しても、強風でも絶対に落ちない玉掛方法とする」など。具体的なイラスト入りで、私のようなシロウトにもわかりやすい。

東京駅の新幹線ホームに隣接する現場だけに、とくに地上階の風散防止に注意を払っている。

このポスターは、丸虎会の3つのサークルの1つ、セーフティサークル(サークル長・山門大志さん・向井建設)が、作業所の方針を全作業員に伝えるために作成している。

セーフティサークルは、「作業所内の安全推進」を基本方針に、安全朝礼や安全大会の司会進行、全職長による安全パトロール、持込工具・玉掛ワイヤーの一斉点検やIDカードの使用状況の管理などを行っている。

クリーンサークル(センター長・林勝巳さん・オリテック)の基本方針は、「3RE運動と美化運動の推進」。クリーンBOX(清掃用具入れ)の設置および管理、作業員を集めての分別講習会、産業廃棄物の分別管理、一斉清掃の自主運営などを通して、混合廃棄物ゼロの達成をめざしている。

コンフォートサークル(サークル長・田淵浩之さん・三機工業)の基本方針は、「快適職場の環境づくり」。意見箱の改善提案や安全標語の募集から、詰所やトイレの清掃管理、詰所パトロール、一般ゴミの管理・分別の徹底、置き花の飾りつけ、場内・場外の作業員モラルの向上、レクリエーションの準備・実行など、多岐にわたる。

緊急地震情報「ユレキテル」で危険を回避して安全を確保

続いて、氷やスポーツ飲料などが常備された熱中症対策室、安全帯置場、喫煙所などを見学。詰所では、スピーカーと赤色の回転灯が目についた。

「これは、気象庁から受けた速報に地盤や構造物の特性のデータを加え、独自に予測震度を解析するシステム『ユレキテル』です。当社が開発したもので、今年4月から、全国約500の作業所に情報を伝えています」と大谷統括所長。

気象庁の地震観測網で検知した初期微動から、震度と到達時間を瞬時に予測し、実際に地震が到達する数十秒前に警報を発する仕組みになっている。

2007年7月16日、午前10時13分。タワークレーンが建築資材をつり上げようとすると、その運転台の画面に「震度4の揺れが来る」という緊急地震情報が表示された。新潟県中越沖地震の発生を検知したのである。 

ただちに詰所や場内にいる約400人の作業員へスピーカーと赤色の回転灯で警戒を呼びかけた。揺れは震度3。建設中のビル上層部では、とくに大きな揺れとなったが、事前に安全を確保したため、けが人はなかった。

揺れの直前に情報が届いたとしても、慌てて立馬などから足を踏み外す危険性もある。そのため、3ヵ月に1度、地震が発生した時、すみやかに対応できるよう総合訓練も実施している。警報が発せられると、より安全な場所に移動し、安全な姿勢をとる。危険物や火気を扱っている作業員も、作業を中止して安全な場所に移動するよう指導している。

ちょうど職長会室で、丸虎会の川口昇会長(向井建設)と会った。大谷統括所長といくつもの現場をともにしている川口会長は、所長の信頼も厚い。その方針をよく理解し、現場でリーダーシップを発揮している。

「安全意識・仲間意識の追求・実現」にまい進する丸虎会は、同社の他の現場の職長会も牽引する立場だとか。実に頼もしい。<>

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