軒を出て狗寒月に照らされる
1/27 藤沢周平
(のきをでていぬかんげつにてらされる)
(ふじさわしゅうへい)
軒下にいた「狗」が、ゆっくり「軒を出て」いく。これからどこに行くのか。あとを追いたい気持ちを抑えて、「寒月」が煌々と照らし出す「狗」の姿を見守っている。一頭の「狗」から、冷え込んだ「寒夜」の寂寥感や諦念が伝わってくる。
こんな光景を私もいつか目にしたことがあるような気がして、懐かしい。『藤沢周平句集』(1999・文藝春秋)所収。
1月26日は、1997年に亡くなった藤沢周平の命日。寒梅忌の名で山形県で偲ぶ会が行われる。藤沢周平と俳句は、根強い人気の小説の源泉ともいえるものなのかもしれない。
| 固定リンク
「わん句・日めくり犬の句・犬と俳句」カテゴリの記事
- 棉の実の爆ぜる日仔犬貰はるる(2007.10.31)
- 露葎繊き赤犬を女王とし(2007.10.30)
- 残菊に犬も淋しき顔をする(2007.10.29)
- 木の実添へ犬の埋葬木に化れと(2007.10.28)
- 返事する犬ゐし小さき葉鶏頭(2007.10.27)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント