南青山一丁目団地建替プロジェクト
月刊「つち」2006年7月号
明るい職場づくりをめざして
職長会訪問…50
大成建設
南青山一丁目団地建替プロジェクト
職長会
都営住宅が複合施設に再生
青山エリアのシンボル的存在
都心にまたひとつ、超高層タワー型の賃貸マンションを中心とした大型プロジェクトが進行中だ。
場所は、赤坂御所に近い、南青山。もともと都営住宅であった南青山一丁目団地を、民間の活力を導入して複合施設に再生しようというもの。
平成一九年三月竣工に向け、ハイセンスな立地にふさわしい、ハイグレードな賃貸マンションに生まれ変わることが予想される。
共同住宅は、超高層棟(N棟)の六階~四六階部分に三九二戸。すでに四三階まで立ち上がっている。四六階という高さは、現時点で、都心のマンションとしては最も高い。
N棟の一階~五階は、オフィス、商業施設、図書館や大学院などの公益施設が、また一四階建のS棟には、共同住宅一五〇戸のほか、保育園、高齢者用グループホームが入り、ひとつのコミュニティタウンを形成する。
住宅は、ファミリータイプから、シングル・DINKSなどのコンパクトタイプ、外国人向けの大型住戸まで、幅広いライフスタイルに対応した豊富なバリエーションが設定されている。
特に、最上階からの夜景は、素晴らしいことだろう。それだけに、家賃はいくらになるのか気になるところだが、平均的会社員の月給の数倍という、まさにデラックス価格になるようだ。
南青山には、それほど高層の建物はない。このエリア初のタワーマンションであると同時に、青山一帯において、これだけ大規模の賃貸専用マンションは初めてということで、シンボル的存在として注目を集めている。
官民一体型の大規模再開発で
働くスーパーな職人たち
といっても、現場で働く職長会のみなさんは、いたって自然体で、気負いはない。職長会メンバーは、「伝説のスーパーとび」こと、会長の早川伸夫さん(加濃建設・とび)はじめ、それぞれユニークな呼び名のシールをつくってヘルメットに貼っておられる。
副会長の依岡晃さん(丸信建設・とび・土工)と鶴ヶ崎明さん(マサル・シール工事)と竹谷勇二さん(宮本建設・型枠大工)、会計の市田幹樹さん(九電工・電気工)、書記の二片健志さん(櫻井工業・水回り)、安全分科会リーダーの朝倉健一さん(柴田工業・鍛冶工)、環境分科会リーダーの味村一樹さん(明和商会・内装工)、衛生分科会リーダーの下野常夫さん(中山測量・墨出し工)、広報・車輛分科会リーダーの大塚賢一さん(TOTO・ユニットバス)という、一〇人が集まってくださった。
「このプロジェクトは、東京都が民間事業者に七〇年間の定期借地契約で敷地を賃貸し、都営住宅と公共施設と民間施設からなる複合施設の建設・運営を委託するものです」と二片さん。
「民間の力を活かした首都の顔づくり」をテーマに掲げた、いくつかの先駆的プロジェクトの中で、「南青山一丁目団地建替プロジェクト」は、国の民間都市再生事業の第一号に認定された。記念すべきプロジェクトだ。
「みんな仲が良いので、申し送りもスムーズで、作業上のトラブルもほとんどないですね」と依岡副会長。
自称「カリスマ内装工」こと味村さんは、「毎朝、有志で、現場の周囲の道路に落ちている吸い殻を拾っていますが、みんな率先して参加してくれています。近所の方から挨拶されるなど、内外のコミュニケーションづくりにも役立っています」。
「仕事が終わると毎日のように、詰所でご苦労さま会をやっています。飲んでばか話をしているようですが、こうしてほしいなど、仕事の改善点も積極的に出されます」と早川会長。
こうした日々の職長会の結束は、昨年のクリスマスシーズンにも大いに発揮された。仮設パイプ、蛍光灯、安全灯などの資材を活用して、大きな星のイルミネーションをつくったのである。
無機質になりがちな工事中のタワーマンションの外壁が、力を合わせて手づくりしたイルミネーションによって飾られた。約一ヶ月間にわたって、おしゃれな青山の街全体に心あたたまるクリスマスムードを演出した。
「毎月、いろいろな現場を取材されているんですか?」と早川会長から訊かれた。
はい、おかげさまで。毎回、どこでもあたたかく迎えていただきましたが、連載五〇回を迎えることができました。
これからもスーパー職人が集う職長会のサポーターとして、その安全を祈るとともに、現場を支える職長会の熱意あふれる活動をお伝えできたらと願っている。
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